一般財団法人日本消防設備安全センター

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Q1.防火管理ってなんですか?

A

  • 防火管理とは、火災の発生の防止と火災の被害を最小限に止めることを目的として、「普段、誰が何をしたらよいのか」、「万一火災が発生した場合にどうしたらよいのか」を消防計画に定め、日常の火気管理や避難施設の管理、消防用設備等の維持管理、火災に備えた消火訓練や避難訓練を行うものです。
    建物所有者や各テナントの管理権原者は、消防法第8条により防火管理者を定め、防火管理にかかわる業務を行わせなければなりません。

    過去の火災事例をみると、火災発見の際の初動対応の不手際、防災設備の不備や維持管理の不適切などから火災が拡大し、被害が大きくなってしまうケースがあとを断ちません。中には、管理権原者や防火管理者に対して防火管理業務の不履行から刑事責任を問われた事例もあります。
    私たちの安全を守るためには、防火管理の重要性を認識し、防火管理を徹底していくことが極めて重要なことなのです。

【防火管理者の選任が必要な建物】

用途及び建物内に居住・勤務する人や出入りする人の数(収容人員)によって定められています。
(消防法第8条・消防法施行令第1条の2)
※建物全体での収容人員で、テナントごとの収容人員ではありません。

■収容人員が30人以上 ■収容人員が50人以上
特定防火対象物-劇場や百貨店、旅館、ホテル、病院など、不特定多数の人が出入りする特定防火対象物は、火災発生の際の危険も大きいため、収容人員が30人以上の場合に防火管理者を選任しなければなりません。政令別表第1の6項ロ、6項ロが存する16項イ及び16の2項は除く) 非特定防火対象物-図書館や工場、駐車場、倉庫など特定防火対象物以外の防火対象物(非特定防火対象物)は、収容人員が50人以上の場合に防火管理者を選任しなければなりません。(政令別表第1の5項ロ、7項、8項、9項ロ、10項から15項、16項ロ、17項)
■収容人員が10人以上
老人短期入所施設など火災発生時に自力で避難することが困難な人が多く入所する福祉施設は、収容人員が10人以上の場合に防火管理者を選任しなければなりません。(政令別表第1の6項ロ、16項イ及び16の2項で6項ロの用途部分が存するものに限る。)

Q2.防火管理者には誰がなり、何をするのですか?

A

  • 建物所有者や各テナントの管理権原者は、防火管理の責任者として、資格を有する人から防火管理者を選任しなければなりません。

    防火管理者は、防火管理に関する知識や技能を持ち、防火管理上必要な業務を適正に遂行することができる管理的又は監督的な地位の者でなければなりません。なお、管理権原者自身が防火管理者を兼ねることもできます。
    s また、防火管理者の資格は、消防機関又は、指定講習機関が実施する甲種(二日間)または乙種(一日間)の防火管理講習の課程を修了した者(どちらの講習を受講するかは建物の規模や収容人員に応じて決まります。)、あるいは、防火管理者として必要な学識経験を有する者等とされています。

防火管理者の仕事には、次のようなものがあります。

用途及び建物内に居住・勤務する人や出入りする人の数(収容人員)によって定められています。
(消防法第8条・消防法施行令第1条の2)
※建物全体での収容人員で、テナントごとの収容人員ではありません。

  • ■消防計画の作成
  • ■消火、通報及び避難訓練の実施
  • ■消防用設備等の点検及び整備
  • ■火気の使用又は取扱いに関する監督
  • ■避難又は防火上必要な構造及び設備の維持管理
  • ■収容人員の管理
  • ■その他防火管理上必要な業務

Q3.統括防火管理者ってなんですか?(平成26年4月1日から施行)

A

  • さまざまな事業所がテナントとして入居しているビルでは、次のような防火管理上の問題点が指摘されています。
    ■テナントの入れ替わりが頻繁で、防火・防災意識が低い。
    ■訓練に参加するテナントがかたよっている
    ■建物所有者とテナント相互間の防災に対する協力意識が希薄で、ビル全体の防火管理上の役割分担が明確でない
    ■テナントごとに利用時間(営業時間)が異なることから、災害対応が機能的に行えない

このようなビルにおいて、火災発生時の混乱と災害の発生を防ぐには、建物所有者と各テナント相互間が協力して建物全体として一体的な防火管理体制をつくることが重要です。
そこで、あらかじめ防火管理上必要な事柄を協議し、共同して防火管理をすすめていくことが、消防法第8条の2で義務づけられています。これを共同防火管理といい、ビル全体の防火管理について全管理権原者が共同防火管理協議会等を設置して話し合い、統括防火管理者を選任し、防火対象物全体についての消防計画の作成、避難訓練の実地を行い、消防署へ届け出ます。

【統括防火管理者の選任が必要な防火対象物】

管理権原の分かれている以下のもの

  • 1. 高さ31mを超える高層建築物
  • 2. 特定防火対象物(地上3階以上、かつ、収容人員が30人以上のもの。ただし、社会福祉施設などの用途を含む場合、収容人員が10人以上のもの。)
  • 3. 地下街(消防長又は消防署長が指定)、準地下街
  • 4. 非特定防火対象物(複合用途)(事務所、共同住宅などが混在する複合用途防火対象物(2を除く)で地上5階以上、かつ、収容人員が50人以上のもの。)

【防火対象物全体についての消防計画の内容】

管理権原の分かれている以下のもの

  • ■各テナント等の権限の範囲
  • ■防火管理業務の委託範囲
  • ■消火、通報及び避難の訓練の定期的な実施
  • ■避難施設の維持管理及びその案内
  • ■消火活動、通報連絡、避難誘導
  • ■火災時の消防隊への情報提供など

統括防火管理者を定めなければならない建物の所有者の方へ
~ ビル全体の防火管理の推進 ~

管理権原者が大勢いる大規模建築物では、テナントの入れ替わりや防火管理業務の一部をさまざまな業者へ委託するなど管理形態が複雑になっているため、一体的な防火管理体制を確保することが難しくなっています。
所有者はテナントとの賃貸契約や建物管理業者との委託契約など、ビル全体の防火管理に大きくかかわっていることから、所有者自身が協議会の代表となるとともに、所有者の事業所から統括防火管理者を選任して積極的に防火管理に取り組む事が大切です。

統括防火管理者を定めなければならない建物のテナントオーナーの方へ
~ 防火管理者の選任と消防計画の作成 ~

各テナントの管理権原者は、防火管理の責任者として、資格を有する人から防火管理者を選任しなければなりません。なお、各テナントの管理権原者自身が防火管理者を兼ねることもできます。 各テナントの防火管理者は、統括防火管理者が作成した全体の消防計画と整合をとって、テナントの消防計画を作成することになります。