違反是正支援センター
教えて!違反処理のこと
1.教えて!用語解説コーナー
注記:参照するページについては、「予防技術検定のための消防予防概論第2巻 防火査察」(7版)を参照してください。
用語と解説 | ||
項目 | 用語のメニュー | 解説 |
立 入 検 査 |
立入検査の時間的制限 | 平成14年消防法改正により時間的制限は撤廃され、立入検査上必要な時間帯に実施することが可能である。 |
立入検査の事前通知 | 従前、立入検査にあたって「相手方に対して事前通告を行う」こととされていたが、平成14年消防法改正で撤廃されたことから、法令上事前の通知は必要ない。 |
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立入検査時の証票 | 証票は立入検査権を有する消防職員であることを示すものであり、証票の提示請求があった場合において、これを提示しないときは、正当な権限行使とみなされない。証票の提示は、その目的から1回の立入につき提示請求権を有する最初の請求者にすればよい。 ⇒ 35p | |
関係者 | 「関係者」とは、所有者、管理者又は占有者をいう(消防法第2条)。 | |
関係者の承諾 | 個人の住居に立ち入る場合は、関係者の承諾を得る。 |
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個人の住居 | 個人の住居とは、私生活の営まれる場としての個人のすまいをいい、共同住宅の居室、個人専用住宅等が該当する。この他、旅館、病院、老人福祉施設等の立入検査の際、個人の専用部分となっている場所については配慮する必要がある。 ⇒ 33p |
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関係のある者 | 関係者又はその代理人、使用人その他の従業者等がこれにあたる。⇒ 33p |
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管理権原者 |
防火対象物等の「管理について権原を有する者」については、平成24年2月14日消防予第52号の通知による。 ⇒ 「予防技術検定のための消防予防概論第1巻 共通科目」(第6版) 30p |
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立入の拒否 (検査の拒否) |
・法第4条に規定する立入検査権は、罰則によってその実効性が担保されているが、相手方が拒否等した場合に、その抵抗を排除してまで行使することはできない。 |
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立入検査の立会い | 立入検査の実効性を高めるためや、危険箇所への立入の際、安全確保等の観点から必要に応じ検査場所の状況に精通した者の立会いを求める。⇒35p 関連事項<よくある質問No.A-4「立入検査の立会いの拒否」> |
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法 令 権 限 |
質問権 | 火災予防に関係する事項について、関係のある者に説明を求める行政上の行為で、事実確認の手段として立入検査に付随するもの。質問の相手方に対して法的効果及び強制力を有していない。また、この質問権は関係のある場所等に立ち入った場合に行使し得るという場所的限界(法第32条「火災原因等の調査における質問等」と異なる。)がある。 なお、答弁を拒否された場合には、報告徴収権や資料提出命令権を行使することで質問に対する回答を得ることができる。⇒5p |
資料提出命令 | 消防対象物の実態把握若しくは、違反事実の解明・立証等火災予防上必要と認められる場合に発出される。 |
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報告徴収 | 消防対象物の実態を把握するために必要な全ての事項で、資料として現に存在していないものを求めることができる。 |
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危険物の収去 | 危険物又は危険物と疑わしいものを、消防機関が試験する必要があると認める場合に、必要最小限度の数量に限り、その危険物等を強制的に取り去ることができる。 収去し得る危険物は、製造所等の設置又は変更の許可に係る品名の危険物に限られない。 ⇒60p |
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検査結果の通知 | ・検査の結果、判明した消防法令違反及びその他の事項について、通知する。 |
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結果通知書の交付 | 違反内容やその改修の必要性等について関係者の認識の程度に応じて、規制概要とその趣旨等について十分な説明を行う。 |
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名宛人と相当の関係のある者 | 名宛人の従業者若しくは配偶者又は防火管理者等がこれに当たる。 ⇒45p |
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改修(計画)報告の指導 | 作成要領及び期限内に報告するよう指導する。 |
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改修(計画)報告内容の指導 | ・報告者が違反改修の履行義務者であるか確認する。 |
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個 別 対 象 物 |
小規模雑居ビルとは | 小規模雑居ビルとは、次のいずれにも該当する防火対象物のことをいう。 |
小規模雑居ビルの 防火管理体制 |
・管理権原ごとに防火管理者が選任され、届出されているか確認する。 |
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量販店等とは | 量販店等とは、店内に商品が多量に山積みされている物品販売店舗をいうものとする。 ⇒57p | |
量販店等における特徴 | 量販店等で見られる特徴的な事項は次のとおりである。 |
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個室型店舗等とは | 個室型店舗等とは、施行令別表第1(2)項ニに掲げる防火対象物の用途に供されているものとする。 |
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個室型店舗等における特徴 | 個室型店舗等で見られる特徴的な事項は次のとおりである。 |
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違 反 処 理 基 本 |
警告 | ・ 警告とは、違反事実又は火災危険等が認められる事実について、防火対象物の関係者に対し、当該違反の是正又は火災危険等の排除を促し、これに従わない場合、命令、告発等の法的措置をもって対処することの意思表示である。 |
行政指導 | 行政指導とは、行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいう(行政手続法第2条第6号)。 なお、過失による違法な警告等に起因して行政客体に損害を加えたとされる場合は、国家賠償法の対象となり得る(関東一著「消防法令解釈の基礎」参照)。 |
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命令 | 消防法上の命令は、行政庁としての市町村長、消防長又は消防署長などの命令権者が、消防法上の命令規定に基づき、公権力の行使として、特定の者(主として関係者)に対し、具体的な火災危険の排除や消防法令違反等の是正について、義務を課す意思表示であり、通常、罰則の裏付けによって、間接的にその履行を強制している。 ⇒125p (⇒7p) | |
特例認定の取消し | 消防法第8条の2の3第1項による特例認定を受けた防火対象物に係る消防法第8条の2の3第6項の規定に該当する事実に基づく認定の取消しを行う不利益処分をいう。⇒7p |
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不利益処分 | 行政庁が、法令に基づき、特定の者を名宛人として、直接に、これに義務を課し、又はその権利を制限する処分をいう。具体的には、各種の下命、禁止、剥権処分がこれに当たる。⇒7p |
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告発 | 告発は、告訴権者(犯罪による被害者等)及び違反者(犯人)以外の第三者が、捜査機関(警察又は検察)に対し、違反事実(消防法令違反)を申告して、処罰を求める意思表示である。 ⇒145p (⇒7p) | |
行政代執行 | 代執行とは、法令又は行政処分に基づく行為義務(何かをしなければならない義務)のうち、他人が代わって行うことのできる行為義務を義務者が履行しないあるいは履行遅滞や見込みがないときに、不履行状態を放置することが著しく公益に反すると認められ、かつ他人が代わって履行する以外にその履行を実現することが困難である場合に、行政庁自ら又は第三者が義務者のなすべき行為を行い、これに要した費用を義務者から徴収することをいう。 |
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略式の代執行 | 略式の代執行とは、措置を命ずべき者が確知しえない場合に行政代執行法に規定する戒告及び代執行令書による通知を行わずに、措置を行うものである。 |
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過料 | 過料は、金銭罰の一種であり、刑罰である罰金及び科料と区別して科せられる。その性質から、①秩序罰としての過料、②執行罰としての過料、③懲戒罰としての過料に大別されるが、消防法第46条の2から第46条の5までに規定する過料は、秩序罰としての過料にあたる。 |
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過料事件の通知 | 消防法第8条の2の3第5項、第17条の2の3第4項、第21条の16の4第1項、同第2項の規定による届出を怠った者は、消防法第46条の5により過料に処せられる。 |
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名宛人 | 名宛人については、通常の場合、権原を有する関係者であり、具体的には、当該命令等の措置内容によって特定される。⇒8p | |
名宛人の特定 | ・ 建物の使用停止・禁止命令の名宛人は、通常、当該建物の所有者であり、建物の改修・除去命令などは、建物の処分を命ずるものであるから、原則として、処分権を有する所有者が命令の名宛人となる。 |
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行 政 救 済 |
行政救済制度 | 消防機関の行う違反処理に伴う行政処分等に対する行政救済制度としては、相手方の被害を金銭で償う方法と行政作用そのものの効力を争っていく方法とに大きく分けられ、前者を国家補償、後者を行政上の争訟という。⇒9p |
行政不服申立て | 行政不服審査法は、不服申立ての種類として、審査請求、異議申立て及び再審査請求の三つを掲げている。 |
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行政不服申立ての教示 | 命令書によって命令を発動する場合、又は利害関係人から教示を求められた場合は、行政不服審査法第57条第1項及び第2項に定めるところにより、不服申立てができる旨並びに不服申立てをすべき行政庁及び不服申立てができる期間を教示しなければならない。 ⇒11p | |
違 反 |
罰則の性格による分類 | 命令違反を前提とする罰則規定に係る違反については、原則押して違反処理基準に基づいて警告・命令を発動する。 |
罰則の種類による分類 | ・刑罰(懲役、禁錮、罰金及び拘留) |
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違反処理の区分 | 警告、命令、認定の取消し、告発、過料事件の通知、 |
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違反処理の基本的留意事項 | ① 違反処理は、違反の内容又は火災危険の重大性に着目し、時機を失することなく厳正公平に行うものであること。 |
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危険性・悪質性の判断基準 | ・火災が発生した場合に、初期消火、避難等において特に重要である消防用設備等(屋内消火栓設備、スプリンクラー設備又は自動火災報知設備)が設置、維持されていないもの。 | |
措 置 命 令 |
消防吏員の命令の作業 | ・命令書の作成 |
措置命令時の公告 | ・公告の内容 | |
違 反 調 査 |
違反調査の目的 | 違反調査の目的は、違反事実、違反者の氏名、違反発生場所、違反対象物の用途、規模、構造、収容人員、違反内容、適用法条などについて確認し、違反の全容を解明し、違反事実を特定することである。 ⇒111p |
違反調査の内容で警告・命令と告発の相違点 | ・警告、命令の場合は、実況見分調査等により、違反の事実を特定することで足りる。 |
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実況見分とその調書 | ・実況見分とは、違反事実の確認及び証拠保全のため、違反現場に出向し、直接、違反の状態や物の存在を現認し、調査することをいう。 |
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実況見分実施時の留意事項 | ・実況見分は法第4条に規定する立入検査権などに基づき行う。 | |
聴 聞 等 |
聴聞・弁明の機会の付与 | 行政庁が法令に基づき、特定の者を名宛人として義務を課したり、権利を制限する不利益処分を行う場合には、行政手続法の適用を受け、処分を受ける者に対して聴聞又は弁明の機会を与え、この手続を経た後でなければ処分を行うことはできない。 |
聴聞 | 聴聞は、不利益処分を受ける者に、口頭による意見陳述や質問の機会などを与え、処分を受ける者と行政庁側のやりとりを経て、事実判断を行う手続である。 |
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弁明 | 弁明は、不利益処分を受ける者に、原則として書面による意見陳述の機会を与え、処分についての判断を行う手続である。(行政庁が認めた場合は口頭で行うこともできる。) |
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弁明の機会の付与の通知 | ・通知書の内容は次のとおり。 |
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公 示 |
公示 | 命令を行ったときは、違反状態が継続している間、標識の設置や公報への掲載などにより、措置命令の内容などの周知を図る。 |
公示制度の法的趣旨 | 防火対象物において命令を行ったときの公示は、防火対象物に火災予防上の危険があることや、消防法令違反があり、消防機関によって措置命令が発せられて、履行さ
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公示が必要な命令 | 根拠規程;法第5条第3項、第11条の5第4項 |
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公示の方法 | 公示の方法は、標識の設置、市町村公報への掲載その他総務省令に基づき市町村長が定める方法によるものとし、標識は当該防火対象物に出入りする人々が見えやすい場所に設置する。 ⇒138p | |
公示の撤去 | 命令事項の履行によって命令の効力が消滅した場合、又は一部の違反事項が是正され、又は代替措置等が講じられたことにより、火災危険の程度と命令内容が均衡を欠き、当該命令の効力を継続させることが不適切となった場合(命令を解除する場合)に公示の撤去を行う。 ⇒138p | |
標識を損壊した場合等 | 設置された標識を損壊した者には、公用文書等毀棄罪又は軽犯罪法が、暴行又は脅迫を加えて標識の設置を拒み又は妨げた者には公務執行妨害罪が適用される可能性があるので、行為者に対しては告訴・告発で対応する。 ⇒139p |