消防庁の検討会資料等

教えて!よくある質問コーナ
A 立入検査
番号 種別 質問 内 容 回 答
A-1 立入検査 事前通告なしの立入検査 平成14年の消防法改正以降、立入検査に関する権原が強化され、相手方への事前通告義務や時間制限が撤廃されたが、用途や営業形態で事前通告と無通告を使い分けている運用方法等はありますか。 飲食店、物品販売店、小規模雑居ビルなどで、避難経路に物品等が存置されていると思われる防火対象物には、無通告の立入検査が有効である。

A-2 立入検査 拒否,拒絶にあった際の対応 立入検査の拒否、内容証明、配達証明郵便受け取り拒否、違反発覚後の違反調査書類作成のための立入拒否など、違反是正を進めていくにつれて拒否・拒絶にあう可能性がありますが、このような場合の考え方を伺います。 関係者に対する適切な接遇を身につけることが大事であると考える。違反処理の執行にあたっては、厳正な態度を持ちながらも、常に誠実、かつ真摯な態度で対応することが大事である。また、関係者等に対する是正指導には情熱をもって、粘り強く行うよう努めることが重要と考える。
配達証明郵便の受取拒否については、下記の事例を参考にされたい。
【違反処理データベース】
弁護士相談内容一覧No,1抜粋
最高裁第1小法廷昭和27年11月20日判決
「自作農創設特別措置法47条の2に定められた取消訴訟提訴期限(「当事者がその処分のあったことを知った日から1カ月以内」)とは、当事者が書類の交付、口頭の告知その他の方法により処分を現実に知った日を指すのであって、抽象的な知りえべかりし日を意味するものではない。」
「尤も処分を記載した書類が当事者の住所に送達される等のことがあって、社会通念上処分のあったことを当事者の知り得た状態に置かれたときは、反証のない限り、その処分のあったことを知ったものと推定することはできる。」
<関連質問>
A−3「立入検査の拒否」
A−4「立入検査の立会い拒否」
A−5「立入検査結果通知書の受取拒否」
A-3 立入検査 立入検査の拒否 立入検査を実施する旨の事前連絡を行っても、正当な理由もなく立入検査を拒否され、その後、関係者に対し再三にわたり連絡を行うも拒否されてしま場合があります。
このような場合、告発により対処することとなりますが、具体的にはどのようにすればよいですか。
法第4条に規定する立入検査権は、罰則によってその実効性を担保されていますが、相手方が拒否等した場合に、その抵抗を排除してまで行使することはできません。
 ただし、正当な理由がなく拒否等される場合においては、告発により対応することとなります。

 告発により対応する場合は、次の点に注意する必要があります。
  @立入検査は複数回にわたって試みること
  A立入検査の必要性や目的について丁寧に説明し、その内容を記録しておくこと
  B拒否等の理由を明確に記録しておくこと

 また、告発先である検察庁又は警察機関と協議連携し、必要な証拠等を確認しておくことが望ましいと思われます。 
 その他、告発事例として「違反処理データベース」及び「月刊フェスク2011年9月号の違反是正」を参考として下さい。

※ 参考文献「消防法令解釈の基礎」
A-4 立入検査 立入検査の立会い拒否 立入検査を実施する際に、所有者等に立会いを求めても拒否されてしまう。
立入検査に立ち会わせるようにする法的根拠はありますか。
立入検査は、火災予防のために行われるものであり、関係者の立会いを求めることはその立入検査を適正・円滑に行うための効果的な手段であるため、火災予防上必要な行為として消防の任務に属し、立会いを求める法的根拠は、消防組織法第1条の任務規定にあると考えられます。
 したがって、立入検査の立会いは関係者の任意の履行や協力、あるいは受忍を期待して行われる任意行為であることから、立ち合いの義務を課したり、立会いを強制することはできないと考えます。
 また、立入検査時における立会いの相手方は、所有者等の関係者のほか、職制上管理権を付与された者、例えば、総務課長、防火管理者等に求めることで、不備欠陥の改修について効果的に指導できると思われます。
 なお、立入検査の立会いを拒否されたとしても、立入検査自体が拒否されたことにはならないことから、立入検査を執行することは可能となります。

※ 参考文献「消防官のための立入検査の法律知識」
A-5 立入検査 立入検査結果通知書の受け取り拒否 立入検査において、覚知した違反事項については「立入検査結果通知書」を関係者に交付していますが、受取を拒否される場合があります。 「立入検査結果通知書」の受取を拒否された場合は、どのように対処したらよいですか。 また、警告書の受取を拒否された場合はどうですか。 通常、立入検査結果通知書を立入検査終了後にその場で交付する場合は、名宛人又は名宛人と相当の関係にある者に直接交付し、期日を改めて交付する場合は、再度出向するか、名宛人又は名宛人と相当の関係のある者に出頭を求め直接交付します。若しくは、普通郵便により名宛人に送付します。
 また、違反処理基準に該当するおそれのある違反事実について通知する場合は、その後の告発等を視野に入れ、行政側の指導状況を証明するために、直接交付する場合は署名を求めることとし、拒否された場合は、その旨を通知書の消防機関側控え等に記録しておきます。

 相手方が通知書の受領を拒否している場合又は遠隔地に居住しており署名が求められない場合は、書留郵便(違反事実の内容に応じ、配達証明郵便等)により送付します。(立入検査標準マニュアル参照)
 警告書の受領を拒否された場合は、配達証明郵便(必要に応じて配達証明付き内容証明郵便)により送達します。(違反処理標準マニュアル参照)
A-6 立入検査 店舗入れ替え等に係る対策について 特定防火対象物において、頻繁な用途変更やテナントの入れ替わり等により、毎年多くの新たな違反や繰り返し違反が発生する状況が認められる。このような現状を踏まえ、立入検査時等に関係者に対し、どのような対策が求められるか。 テナントの入れ替えに関する防火意識の低さについては、東京、高円寺居酒屋火災事件を受けて検討された報告書からもわかる。
そこで、東京消防庁においては違反対象物の公表制度が発足している。
【参考事例】
月刊フェスク2011年1月(東京)
月刊フェスク2012年11月(東京)
月刊フェスク2014年3月(東京)
この他、風俗営業許可等の申請が必要な場合では、事前に警察署、建築部局と連携して立入検査を実施したり、テナントを管理する団体等への防火管理に関する講演や消防訓練などを通じて防火意識の向上を図っている。
消防機関における関係機関との連携体制の構築例についてまとめたものがあるので参考にされたい。
【消防庁報告書】予防行政のあり方に関する検討会(平成24年1月20日公表)参考資料6「消防本部における火災予防業務体制の実態に係る意見交換会の概要」
A-7 立入検査 消防法令以外の法令違反 消防法令以外の法令違反(建築基準法など)について立入検査結果通知書に記載することができる根拠を教えてください。 消防法第4条の立入検査において、他の法令違反に内在する火災危険に着目し、行政指導により当該危険の予防又は排除を求めることは、火災の予防を消防の任務の一つとして定めた消防組織法第1条の任務規定を根拠として捉えることができます。また、消防法第5条の前段として行うことも可能であると考えられます。

 なお、実務上においては、他の法令違反の内容等を踏まえ是正に向けた対応を行っていく必要があることから、関係行政機関との情報の共有化を図り、指導していくことが望ましいと考えられます。(「予防技術検定のための消防予防概論第2巻 防火査察」P6参照)
※ 参考文献「消防法令解釈の基礎」
<関連質問>
F−1「関係機関との違反処理の進め方」
F−2「建築基準法違反」

B 3条関係
番号 種別 質問 内 容 回 答
B-1 3条 屋外金属スクラップ集積場での出火事例 金属スクラップ集積場のゴミの中間施設において、繰り返し火災があった。この案件について再出火防止について指導書を交付し、集積場の内容物である金属類、バッテリー類の区分について指導した。このような場合に消防法第3条第1項による措置命令は可能ですか。  金属スクラップ集積場の集積方法が管理されておらず、過去の火災事例などを参考に、命令権者が火災の予防に危険であると判断できる場合は、消防法第3条第1項の命令を発動することは可能である。ただし、消防法第3条1項命令を行う際には、警察比例の原則が生かさなければならない。単に整理すれば事足りる物件を撤去させることは、権限の「ゆ越」となることがある。
「火災の予防に危険である」場合とは、火災の発生危険がある場合のほか、何らかの原因によって火災が発生した場合において延焼・拡大危険がある場合をいい、火災予防について専門的な知識、経験を有する立場から、過去の火災事例等を参考に、個別的な状況から合理的に判断して具体的な火災危険性があると認められれば足りる。(逐条解説消防法より)
「みだりに存置」とは、火災予防の見地から十分に管理されていない状態を指す。(消防法令解釈の基礎)
金属スクラップに関する安全対策については下記の資料を参考されたい。
【参考資料】
平成15年消防庁報告書 ごみ固形化燃料等関係施設の安全対策調査検討報告書 資料8
平成23年9月関係通知(環境省)仮置場における火災発生の防止について(再周知)
B-2 3条 ゴミ屋敷に対する火災予防指導 通称ゴミ屋敷といわれる住宅から火災が発生しました。これに伴い、市役所環境部局とともに、環境部局が把握しているゴミ屋敷に対し、火災予防のための指導に出向しました。ゴミ屋敷対策について、条例等で規制している自治体もありますが、本市では条例等の規制がありません。何か方策がありますか。  具体的な火災危険が認められる場合、消防機関において予防措置として屋外の物件の除去を行うことは可能である。しかし、消防法第3条命令は、空き家対策の保護法益とは必ずしも一致するものではない。
むしろ空き家については住環境上から、関係機関と連携することが必要である。
空き家対策については「空き家対策の推進に関する特別措置法」を参照。

C 5条の3 消防吏員の命令
番号 種別 質問 内 容 回 答
C-1 5条の3 消防吏員による防火対象物における除去命令の発動要領 悪質な違反対象物に対して、吏員命令を発動する要領や処理方法などの方策がありますか。 消防法第5条の3による消防吏員の命令については、「違反是正の実務 映像版」No.5参照
また、実際の防火対象物を想定して査察実施研修を実施することで、職員のスキルをアップすることができる。
職員の人材育成に関する記事についても紹介する。
【参考事例】
月刊フェスク2012年6月号 現場レポート(福岡市)
その他の取組みについては、「違反処理の課題」参照
C-2 5条の3 物件除去命令に伴う判断基準 消防法第3条第1項及び第5条の3第1項の物件除去命令の発動に際し、物件の量や履行期限について判断の要素となるものがありますか。 具体的な事例については、違反処理データベースシステムから検索することができる。
詳しくはこちら
また、月刊フェスクの掲載している事例も参考にされたい。
【参考事例】
月刊フェスク2010年5月号 違反是正(川崎市)
月刊フェスク2013年10月号 違反是正(笛吹市)
C-3 5条の3 避難通路に障害となる物件存置を繰り返しする防火対象物への措置 避難障害物件の除去については、立入検査時に関係者等が即時改修するものの存置を繰り返す場合は、どのタイミングで違反処理に移行しますか。 無通告により立入検査を実施し、再三の繰り返し違反等、適切な防火管理業務が継続して行われていないものを覚知した時点で違反処理へ移行するべきである。
内容としては、管理権原者に対し、防火管理業務が法令の規定及び消防計画に従って行われるように必要な措置を講ずるべきものとして、法第8条第4項による防火管理業務適正執行命令等を交付する。

D 8条 防火管理関係
番号 種別 質問 内 容 回 答
D-1 8条 防火管理者選任対象物への消防用設備等点検の命令 消防法第17条の3の3には、消防用設備等の点検及び報告について規定があり、虚偽報告や未報告の場合、罰則規定がありますが、実施や報告についての命令規定がありません。
消防法第8条第1項には、『管理権原者は防火管理者に、消防の用に供する設備の点検及び整備を行わせなければならない』等の規定があり、違反した場合、消防法第8条第4項に命令規定があります。よって、防火管理者選任対象物である場合は、消防法第8条第1項の防火管理業務不履行として消防法第8条第4項の防火管理業務適正執行命令により消防用設備等の点検について命令をすることが可能と考えてよいですか。
消防法第17条の3の3には、命令規定がありませんが、消防法第8条の2の2第1項違反と同様に、告発をもって措置すべき事案である。
なお、立入検査により防火管理全般にわたり検査し、消防用設備等の維持管理違反が見受けられる場合は、消防法第8条第4項違反が適用される。

各法令の解説を以下に示すので参考にされたい。
@防火管理上必要な業務が法令の規定又は消防計画に従って行われていないときは、防火対象物の関係者に対して、必要な措置をとるよう命令することができる。(逐条解説消防法より)
A告発をもって措置すべきと認められる事例に「点検報告未報告の繰り返し」が含まれている。
基本的には、立入検査結果の通知、指導等にかかわらず、改善されない場合は、一次措置として「勧告」を行い、火災発生時の人命危険が高く、かつ、悪質性がある(繰り返し違反)等を総合的に判断し2次措置として「告発」を行うこととしている。(違反処理標準マニュアルより)
罰則規定はこちら
D-2 8条 防火管理者選解任届出の未届違反 違反処理標準マニュアルにおいて、消防法8条関係(防火管理者選解任届・消防計画作成届)の届出がなされていなくても実質的な業務が実施されていれば、防火管理未実施には該当しないとなっています。このようなケースにおいて、消防法8条関係の届出を促す方法はありますか。 違反処理標準マニュアル(違反処理基準)の消防法第8条第3項の防火管理者未選任に関する事例には「防火管理者として届出されていないが、選任され実質的に防火管理業務が行われていることが明らかな場合は、適用要件に該当しないものとみなし指導を継続することができる」と記載されている。
これについては、届出がない場合でも関係者の供述だけで判断せずに、実質的に防火管理業務が行われているかどうかを確認する必要があることを示していると考える。具体的には、防火管理者の資格の有無を確認することや、具体的な消防計画の内容に記載される事項ついて確認するためには、管理権原者に対する資料提出や報告徴収命令などにより状況を確認する。
しかし、再三の指導にも従わない場合には、消防法第8条第3項に従って同条第1項違反として警告を行うこととなる。

E 17条 消防用設備関係
番号 種別 質問 内 容 回 答
E-1 17条 消防用設備等の設置基準 消防法施行令第23条の消防機関へ通報する火災報知設備については、「ただし、消防機関から著しく離れた場所にある防火対象物にあっては、この限りではない」として設置対象から除かれる場合があります。
この著しく離れた場所については、明確な基準が法令上定められていませんが、設置されていない対象物に対して法第17条の4の設置命令を行うことは可能ですか。
 各消防機関の運用基準に基づき、設置が必要となる場合は設置命令を行うことが可能であると考えます。
 なお、防火対象物が「著しく離れた場所」に該当するか否かの判断は、法令上明確となっていないことから、当該防火対象物の実態に応じ、消防機関において判断すべき事項であると考えます。
 火災予防査察便覧において当該距離については、「消防機関から約10km以上離れた場所」と記載されていますが、距離によってのみ判断するのではなく、実態状況などを勘案して判断することが望ましいのではないかと考えます。

F 関係機関との連携
番号 種別 質問 内 容 回 答
F-1 関係機関との連携 関係機関との違反処理の進め方 消防法違反と建築基準法違反等他の法令違反が混在する対象物に対し、他の関係機関と連携して対応することがベストでありますが、現状ではうまく連携できないことがあります。このような場合、消防は建築基準法違反を是正させることができますか。 建築基準法等他法令の防火に関する規定違反の是正は、所管行政機関の権限と責任においてなされるものであるが、これらの防火規定違反に内在する火災危険、つまり火災の拡大危険や火災発生時の人命危険を防止することは、消防組織法第1条の任務規定を根拠として、消防機関の重要な任務に属する。(消防法令解釈の基礎より)
そのため、関係機関との連携を強化するため、それぞれが保有している情報を共有するとともに、合同による立入検査を実施することや、消防法第35条の13を活用して関係機関へ照会を行うことが望まれる。
なお、照会や協力要請の対象が国家公務員法第100条、地方公務員法第34条等の規定による守秘義務に係るものである場合については、常に一方が他方に優先するというものではなく、照会や協力要請に応えて、職務上の秘密を開披するかどうかは、照会や協力要請に応えることによって守られる消防法上の法益が、守秘義務によって守られるべき国家公務員法、地方公務員法上の法益を勝る場合には、守秘義務違反にはならない。(逐条解説消防法)
<関連質問>
G−8「消防法令違反と建築基準法令違反」
F-2 関係機関との連携 建築基準法違反について 違反対象物の立入検査では、建築部局と連携して実施しています。消防法違反に関しては検査結果を文書で通知し是正を指導していますが,建築基準法違反に関しては、口頭指導で是正確認をしていないと思われるものがあります。
平成 26年4月1日から実施される「新表示制度」の判定基準に建築構造等が含まれていますが、建築基準法違反についても消防側から通知し是正確認を行っていくのでしょうか。
建築基準法第1条「この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。」としていること等から、消防法のように既存対象物に対する規制が必ずしも遡及しない。そのため、建築基準法について指導する場合は、建築年月日、増改築年月日、用途変更年月日などを考慮する必要がある。
<関連質問>
A−7「消防法令以外の法令違反」
F−1「関係機関との違反処理の進め方」
G−8「消防法令違反と建築基準法令違反」
なお、「新表示制度」は、建築基準法令に基づく防火に関する基準(構造・防火区画・階段)については、建築基準法上、既存適格であったとしても、現行不適格であれば表示基準には適合しないものとしている。
【表示制度の関係法令】
平成25年 消防予第419号、418号、499号
F-3 関係機関との連携 消防法施行令別表第一6項ロに係る用途判定 (6)項ロの用途の判定については、消防法施行令の一部を改正する政令(平成25年政令第88号)により、「実態に則した用途区分の見直し」が示されたが、無認可の福祉施設において、避難が困難な要介護者の具体的な判定方法がありますか。 無認可の福祉施設に関する情報については、救急隊からの情報から発覚することが多く、無認可施設における要介護者の人数などを把握するには、関係者からの供述を得ることに困難を生じることがある。
そこで、消防法第35条の13を活用して、関係部局に要介護者の人数、程度区分などを情報提供してもらい連携を取りながら確認することができる。
例えば、福祉部局への届出がない場合においても、介護保険を担当している部局、又は要介護認定等を担当している部局との連携を強化することが重要である。場合によっては関係部局との合同立入検査を実施することも効果的である(平成27年3月31日消防予第136号及び同日事務連絡の3部局による情報共有・連携体制の構築に関する通知参照)。
<関連質問 F−4「有料老人ホームの取扱い」
【参考資料】認知症高齢者グループホーム等火災対策検討報告書
福祉部局が事業者からの指定又は指定の更新に係る申請を受けた場合に、建築部局及び消防部局と必要な連携をしながら、検査済証等により建築基準法や消防法などの防火関係規定の適合状況について確認のうえ、指定や指定の更新を行う。ただし指定の更新の際には、施設の迅速な安全確保を求めると共に、現に入居している要介護者への影響や改善に要する期間などを十分に考慮し調整することが必要である。
また、立入調査等を通じて、建築基準法や消防法などの防火関係規定に係る不備を把握した行政機関から他の関係機関への情報提供等が必要である。
さらに、防火関係規定に係る不備が把握された事業者から関係機関に対して適切な改善計画を提出させるなど、その後の改善指導に的確に結びつけていくための体制の構築が必要である。
F-4 関係機関との連携 有料老人ホームの取扱い 実態として有料老人ホームと同様のサービスを提供している施設に対して、消防法上どのように指導したらいいでしょうか。 福祉関係法令に位置づけられていない施設の消防法上の位置づけを明確化するため、平成25年政令第88号により改正が行われ、平成26年3月14日付け消防予第81号消防庁予防課長通知によりその運用が示されています。
 本通知によれば、サービス付き高齢者向け住宅の登録を受けているかどうかにかかわらず、老人を入居させ、入浴、排せつ若しくは食事の介護、食事の提供等の供与をする事業を行う施設は、有料老人ホームとして扱われるとされています。
 また、サービス提供の取扱いが不明確である場合には、福祉部局と連携の上、当該施設の取扱いを適切に判断することとあります。
 なお、有料老人ホームのように、介護居室等避難が困難な要介護者が入居することを想定した部分の定員がある場合は、当該定員の割合が一般居室を含めた施設全体の定員の半数以上であることを目安として、(6)項ロと判定することもあることから、常日頃から福祉部局と情報の共有化を図るなどの連携体制を構築していくことも必要であると思われます(平成27年3月31日消防予第136号及び同日事務連絡の3部局による情報共有・連携体制の構築に関する通知参照)。
<関連質問>
 F−3「消防法施行令別表第一6項ロに係る用途判定

G 違反処理の進め方
番号 種別 質問 内 容 回 答
G-1 違反処理の進め方 過去に行政指導が行われていない違反対象物への対応 届出のないことにより消防機関が把握していないことがあります。このような防火対象物に対して、立入検査を実施し消防法令違反について説明していますが、違反是正が思うように進まないことがあります。その場合、どの様に対応すればいいですか。 これまで把握していない対象物に対して、立入検査により新たな消防法令違反を覚知した場合は、その違反事実について関係者へ丁寧に説明する必要がある。
また、関係機関との連携により情報を共有するほか、職員の予防業務に関する教育を推進するとともに、接遇に関しても身につける必要がある。
各消防本部の教育状況について紹介する。
【参考事例】
月刊フェスク2012年8月号 違反是正(浜松市)
月刊フェスク2013年8月号 現場レポート(大阪市)
G-2 違反処理の進め方 消防用設備の設置を指導する際に事業者から資金難の訴え 未設置の消防用設備設置を指導するにあたり、関係者より資金難を理由に設置困難である旨の説明があり、そのたびに翌年に持ち越しとなり再三の指導をするが、改善に結びつかないことがある。このような場合、効果的な指導方法はありますか。 資金難だからと言って、違反処理を留保する理由にはならない。
違反処理を進める上では、消防用設備の設置方法、融資制度、区画の仕方などいくつかの方法を関係者へ提示し、十分に説明する必要がある。
また、融資制度には多様なものがあり、同業組合や金融機関への相談を関係者に促すことが必要である。
違反処理データベース・判例事例索引:ホテルニュージャパン火災事件控訴審判決(平成2年8月15日判決 東京高等裁判所)では、以下のようなことが述べられている。
「もし消防用設備に不備のあるホテルについて、所用の設備工事に費用を支出すると、経営が圧迫され、経営の継続ができなくなるという場合があるとすれば、消防用設備に不備のあることを知らない利用者が保護されるためにも、ホテル経営者は、少なくとも基本的な設備について工事資金の調達ができない以上は経営を断念すべきであり、又は資金の調達ができて設備工事が終了するまでは営業を休止すべきであるとするのが、道理というものであろう。」
G-3 違反処理の進め方 違反処理の留保 増改築により屋内消火栓設備の設置義務が新たに生じた工場において、改修に係る費用を資金の積み立てによる基金化で捻出したいとの相談があり、基金化に向けた長期間の基金計画の提出がありました。
このような基金計画をもって違反処理を留保することは可能ですか。
 基金化が行えるのであれば、「消防用設備等の設置等に係る金融上の措置について(情報提供)」など、金融機関から資金を調達することが可能と推測されますので、まずは違反事実を是正し、その後、改修費用を返済していくことが本筋であると考えます。
 もし、基金計画によることでしか是正ができないとした場合、消防機関としては少なくとも命令までは実施し、公示によって利用者及び近隣関係者等の安全性を確保する必要があるのではないかと思われます。そして、基金計画については命令違反による告発や上位措置への移行を猶予するなどの場合に考慮すべき事項として捉えることが妥当ではないかと思われます。
<関連質問>
G−2「消防用設備の設置を指導する際に事業者から資金難の訴え」
G-4 違反処理の進め方 違反処理を行うための計画、準備 所属には「違反処理規程」が定められていますが、違反是正を継続的・効果的に行っていくためにはどのような計画を立てるべきですか。 違反是正をしていく上では、組織として違反処理を進める計画を立てることが必要である。
まず、違反事実の確認のために立入検査を実施して改修されるまでの期間を設け、その計画通りに進まない場合には、警告書、命令書などを交付する時期を組織として計画する。その判断基準としては、違反処理標準マニュアルにおいて違反処理基準が定められており、さらに「立入検査で見つかった違反対象物のうち、火災が発生した場合の危険性や悪質性の高いものは、徹底的に改善させていく対応が必要である。」と記載されている。
また、違反処理規程と比較して業務が計画どおりに執行しているかチェックする体制を構築する必要がある。
立入検査標準マニュアルには、複数の視点から確認するチェック体制を構築することが求められている。
<参考通知>
 平成27年3月31日消防予第137号「査察規程の作成例」参照
【危険性・悪質性の判断基準】
・火災が発生した場合に、初期消火、避難等において特に重要である消防用設備等(屋内消火栓設備、スプリンクラー設備又は自動火災報知設備)が設置、維持されていないもの。
・建築構造等3項目(建築構造、防火区画、階段)への適合性のない対象物における消防法令の継続した同一事項の違反
【参考事例】
月刊フェスク2012年12月号 違反是正(千葉市)
月刊フェスク2013年4月号 違反是正(旭川市)
月刊フェスク2014年1月号 違反是正(名古屋市)
G-5 違反処理の進め方 差押及び競売開始決定のなされた防火対象物の違反処理 違反処理中の防火対象物において、不動産登記事項証明により、差押及び競売開始決定を覚知した場合、名宛人である所有者が変わる可能性があることから、防火管理面の強化等の安全担保措置を講じて違反を留保することが考えられますが、「差押」は所有権の「使用、収益、処分」うち、「処分」のみが制限されていることから、「差押」後も新たな所有者となるまでの間、現所有者を名宛人として違反処理を進めることになりますか。 お見込みのとおり。
なお、違反処理標準マニュアルには、違反処理を留保する場合の例が記載されているが、防火対象物が一定の用途として使用されている限り、所定の消防用設備等の設置について指導したり、措置命令を発することは可能である。そして、この場合の指導や措置命令は消防法上の任務あるいは権限として行うものであるから、民事訴訟中のいずれの当事者に有利になろうと不利に働こうと民事介入ということにはならない。(弁護士相談内容No,2、No,9より)
【消防庁通知】
違反是正推進に係る弁護士相談事業の実施について(平成25年6月26日付け消防予第256号)に基づき、平成25年度から弁護士による相談制度が開始された。
その結果については、違反処理データベースから確認できるPDFデータ(弁護士相談内容No,2、No,9)を参照されたい。
G-6 違反処理の進め方 消防用設備等の維持義務違反における違反事実の特定方法 消防消防法第17条の3の3に基づく消防用設備等の点検報告において、設備の作動や機能に係る不良等を放置している維持義務違反を覚知した場合、当該消防用設備等点検結果報告書の内容をもって違反事実の特定としていいのでしょうか。もしくは法第4条に基づく報告徴収命令により、現在の機能状態等の報告を求めるべきでしょうか。 消防設備点検報告書をもって消防法第17条の4第1項の要件とされるものではなく、違反の端緒として捉え、立入検査を行い、消防用設備等の維持管理の実態を把握し、関係者に指導し違反是正にあたることが必要である。
G-7 違反処理の進め方 違反処理への移行 消防法令違反に係る違反処理を行った実績が少なく、違反是正に係わる考え方について伺います。 違反処理を進めるには、担当職員だけが抱え込むのではなく、組織としてどのように違反処理を進めていくのか計画をたてることが重要である。
<参考通知>
 平成27年3月31日消防予第137号「査察規程の作成例」参照
「宝塚市カラオケボックス火災事件」や「福山市ホテル火災事件」を契機に、行政の不作為について議論が行われているので参考にされたい。
「不作為」とは:行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分その他公権力の行使にあたる行為をするべきにかかわらず、これをしないことをいう(行政不服審査法第2条第2項)
【裁判事例】カラオケボックス火災事件(平成19年12月12日神戸地方裁判所)
【消防庁報告書】ホテル火災対策検討部会報告書(平成25年7月17日公表)
G-8 違反処理の進め方 消防法令違反と建築基準法令違反 建築基準法令の違反があり、消防法令違反(消防用設備等の未設置)もある場合、消防法令の違反の是正を先行して行ってよいですか。  消防法第17条第1項に基づく消防用設備等の設置義務は、一定の防火対象物が一定の用途として使用されることによる火災危険(出火危険、火災の拡大危険又は火災による人命危険)を防止するために課されているものであるから、防火対象物として使用されている限り、それが建築基準法令に違反するいわゆる違反建築物であるか否かは、消防用設備等の設置義務と直接かかわりがありません。
 したがって、違反建築物であっても消防法施行令等の技術上の基準に該当する以上、原則として、消防用設備等の設置義務が生じます。
 ただし、建築行政庁が当該違反建築物に対し使用禁止命令や除却命令等の法的措置をとっている場合には、その結果を踏まえて措置するという行政上の配慮が必要となります。
 また、建築基準法令違反を是正することによって、消防法令違反が解消される場合もあることから、建築行政庁と違反建築物の是正に係る今後の対応について事前に調整するなどの情報の共有化を図ることが必要になると考えられます。
<関連質問>
F−1「関係機関との違反処理の進め方」
F−2「建築基準法違反」
G−10「複数違反の違反処理」
 なお、弁護士相談(平成25年12月29日回答「消防法令違反と建築基準法令違反とが同時に存する対象物に対する違反是正」)も参考として下さい。
※ 参考文献「消防法令解釈の基礎」
G-9 違反処理の進め方 特定用途のテナント撤退 (16)項イの防火対象物に対し、自動火災報知設備の設置指導を行ってきたが、特定用途のテナントが撤退し空室となったことから、用途が(16)項ロに変更になりました。
 このため、当該設備の設置基準に達しなくなった場合どのように対応したらいいでしょうか。
 過去に自動火災報知設備の設置が必要であったからといって、基準に達していない現時点の状態において当該設備の設置指導を行うことはできません。このため、建物の所有者等の関係者に対し、将来において特定用途のテナントが入居した場合には、これまでの指導経過等を勘案し対処することを説明し、テナントが入居する前(入居工事時等)に当該設備を設置するように理解を得ておくことが重要であると考えられます。
 なお、空室部分の取扱いについては、平成14年9月30日消防予第281号「消防用設備等に係る執務資料の送付について」の質疑18のとおり、平成12年3月27日消防予第74号「スケルトン状態の防火対象物に係る消防法令の運用について」を参考として下さい。
G-10 違反処理の進め方 複数違反の違反処理 自動火災報知設備の感知器の未警戒や火災通報装置の未設置、建築基準法令違反等の複数の違反を有する対象物に対し警告書の交付を行ったところ、後日、屋内消火栓設備の未設置が発覚したため、別途設置について警告書を交付した。
今後違反処理を進めていく上で、屋内消火栓未設置の重大違反を先行して進めていくべきか。
それぞれの違反事項に対して上位措置に移行することで足りると考えます。また、屋内消火栓設備の未設置が確認された時点で、使用停止命令を見据えた警告書の交付を行うことも考慮する必要があると考えられます。(「危険性・悪質性の判断基準」参照)

 なお、屋内消火栓設備の未設置など新たな違反が確認された時点で、実況見分調書や違反調査報告書を再確認する必要があります。
 ただし、建築基準法令違反を是正することによって、消防法令違反がクリアできる場合もあることから、建築行政と今後の対応について調整するとともに情報の共有化を図ることが必要になると考えられます。
<関連質問>
F−1「関係機関との違反処理の進め方」
F−2「建築基準法違反」
G−8「消防法令違反と建築基準法令違反」


H 警告、命令、告発、代執行
番号 種別 質問 内 容 回 答
H-1 警告、命令、告発、代執行 一事不再理の原則 例えば、消防法第8条第3項の選任命令違反で懲役・罰金の罪を償った者に対し、引き続き法第8条第3項違反の事由がある場合に、選任命令を出せるのでしょうか。重ねて命令を出した場合は、刑事訴訟法上の一事不再理の原則に抵触しないのでしょうか。
また、同一事案に対し出せないとした場合、法第8条第3項の選任命令がされたが、不履行あるいは不完全履行等で法第5条の2第1項の規定に該当したとしても、最終的な罰則として、法第8条第3項の罪(懲役6箇月以下、罰金50万円以下)を償った方が(法第5条の2懲役3年以下、罰金300万円以下)罰則が軽くなることになります。一事不再理の原則との関係についてご教授願います。
一事不再理の原則が適用されるのは、確定判決の対象となった既存の犯罪事実に限定され、確定判決以後において継続されている犯罪事実には適用されないものと解される(最判昭和24年5月18日刑集3巻6号796項)ことから、確定判決以後も同種違反事実がある場合は、再度選任命令を出すことはできる。
なお、法第8条第3項に基づいて必要な措置が命じられたにもかかわらず履行されず、法第5条の2の使用禁止命令等の命令要件に該当する場合は、3次措置をとることとされている。(違反処理標準マニュアルより)
【一事不再理の原則】何人も、同一犯罪について、重ねて刑事上の責任を問われない。(憲法第39条後段)
H-2 警告、命令、告発、代執行 命令の効力 屋内消火栓設備の未設置違反に対し、法第17条の4による命令を行ったが、履行期限を超過しても改善されない場合、再度当該命令を行うことは可能ですか。  屋内消火栓設備の設置命令の履行期限を超過した対象物に対し、再度同様の命令(新たに履行期限を付した命令)を行うことは妥当ではないと考えられます。
 命令は罰則の担保によって受命者を強制するものであることから、命令に違反するときは、罰則の適用を受けることになります。命令に履行期限を示すことは、命令事項の履行が客観的に可能であることを明示するとともに、いつの時点で命令違反が成立するかを明らかにする機能を持つことから、履行期限が経過しても命令事項が履行されない場合には、受命者に罰則を受ける効果が生じることとなります。
(消防法の研究「5 消防法上の措置命令に関する基本的な問題について」参照)
 以上のことから、履行期限を超過した場合は、告発若しくは上位措置への移行を検討する必要があります。
<関連質問>
H−1「一事不再理の原則」
※命令の効力に関しては、弁護士相談(平成25年8月20日回答「警告・命令関係」、平成25年11月19日回答「共同住宅における履行期限が経過した命令の効力の有無、内部規定の催告による対応等」)を参考として下さい。
H-3 警告、命令、告発、代執行 履行期限の設定 行政処分への移行に際して、関係者が違反を改善することができる客観的な日数を消防機関が把握する必要があると思われますが、適切な期間とはどれぐらいかご教授願います。 違反処理標準マニュアルの違反処理基準「履行期限」を参照されたい。なお、法第17条第1項又は第3項違反に関する消防用設備等の設置に係る履行期限について、工事日数等が掲載されているので参考にされたい。
H-4 警告、命令、告発、代執行 警告・命令 屋内消火栓設備の設置義務がある工場において、屋内消火栓設備の設置基準以下の面積しか使用していないとの関係者側からの言い分により設置しない場合、どのように対処すればいいですか。  十分に理解を得られるよう説明を丁寧に行い、危険性や必要性を認識してもらうよう指導を行っても改善されない場合には、立入検査標準マニュアル及び違反処理標準マニュアルに基づき、法令に則って粛々と対処するべきであると考えます。
 なお、対象物の状況によっては、未使用部分をデッドスペース化とするなどの代替手段も考慮し検討していくことも必要であると思われます。
H-5 警告、命令、告発、代執行 危険性・悪質性の程度 警告や命令を適用するかの判断として、消防法の各命令規定に該当する事はもちろんですが、違反事実の性質を考慮すべきと考えます。違反事実の性質には、危険性、悪質性があると思われますが、それらをどの程度満たすことで警告・命令とすべきかご教授願います。  警告は、関係者に対して、違反事実又は火災危険等が認められる事実について、当該違反または火災危険等の排除を促し、これに従わない場合、命令、告発等の法的措置をもって対処することを意思表示し、自主的に違反を是正させる方法をいい、警告は、命令の前段措置として行うのが原則で、性質上行政指導に当たる(「違反処理標準マニュアル」参照)とあることから、警告は、行政指導の最後通告であると考えられます。
 したがって、警告へ移行する判断については、任意の協力によっては違反を是正させることが期待できないことを基準とすべきであると考えられ、改修(計画)報告書の提出がなく具体的な是正の意思が認められないなどの場合には警告へ移行すべきであると考えます。
 よって、違反事実が各消防本部において定める違反処理規程等で規定する違反処理基準に該当する場合は、当該規程に基づいて対処することが基本となると考えます。
 なお、違反事実の危険性・悪質性については、「違反処理標準マニュアル」違反処理基準において、次のように記載されています。
 立入検査で見つかった違反対象物のうち、火災が発生した場合の危険性や悪質性の高いものは、徹底的に改善させていく対応が必要である。その中でも特に人命危険の高い対象物には、使用停止命令を含めた厳格な措置を行い、命令・公示を行っていく必要があり、消防機関による防火対象物の違反是正における危険性・悪質性の判断基準については、以下のような事項を勘案し、判断していくものとする。
・火災が発生した場合に、初期消火、避難等において特に重要である消防用設備等(屋内消火栓設備、スプリンクラー設備又は自動火災報知設備)が設置、維持されていないもの。
・建築構造等3項目(建築構造、防火区画、階段)への適合性のない対象物における消防法令の継続した同一事項の違反
 以上のことから、違反事実の危険性・悪質性については、使用停止命令等を見据えた対処が必要な場合や優先的に違反処理を実施すべき案件を選別する場合に考慮すべき事項であって、警告・命令へ移行することの判断基準とすることは不適当であると考えます。
<関連質問>
 H−6「非特定防火対象物の違反処理
H-6 警告、命令、告発、代執行 非特定防火対象物の違反処理 「違反処理標準マニュアル」には、火災が発生した場合の危険性や悪質性の高いものは徹底的に改善させていく対応が必要との記載があり、特定防火対象物の違反対象物は、積極的に違反処理へ移行すべきであることは当然であると考えますが、工場や倉庫等の特定防火対象物以外の防火対象物における違反対象物はどのように判断すべきですか。公共の安全及び行政の公平性の観点からご教授願います。  まず、特定防火対象物であるか否かに関わらず、消防法令において規制されている事項を遵守しない者には、行政指導により自発的に遵守させ、又は、行政処分等により強制的に遵守させることが法の前提であり、これに従い行政機関が対処することにより、公共の安全(消防法の目的)が実現できると考えます。
 そして、防火対象物に対する規制は、その規模、構造、態様等により表される危険性に応じて規定されていることから、当該規制に違反している場合は、これをもって既に公共の安全が保たれていないものと判断し、行政機関は違反を是正させるために有する権限を行使する必要があるものと考えられ、特定防火対象物であるか否かを考慮する要素はないものと考えます。
 なお、優先的に違反処理を実施するべき対象の選定においては、防火対象物の用途・規模・収容人員(利用者)や違反事実の内容などの火災危険性を総体的に考慮して合理的な判断を行うべきであると考えます。
<関連質問>
 H−5「危険性・悪質性の程度」

I 危険物
番号 種別 質問 内 容 回 答
I-1 危険物 火災になった危険物施設に対する使用停止命令等 一般取扱所で危険物の給油作業中に火災が発生し,作業員 1人が火傷を負ったが,鎮火後機器等には損傷はなく特に客観的危険性は見当たりません。この火災は人的ミスにより発生したものであり取扱所の技術上の基準には違反はしていません。この施設を再開する要件として,作業工程に於ける危険要因の把握とその対策により安全性が確認されるまでの期間について,使用することを控えるように指導しました。このように作業員の人的ミスであるソフト面に対して,使用の停止または制限をすることは可能ですか。 消防法第10条3項の取扱いに関する基準違反に該当すると考える。この場合、消防法第11条の5第1項等に基づく警告又は基準遵守命令となる。
この他、危険物取扱者に対する免状返納運用基準も参照されたい。
【消防庁通知】「危険物取扱者免状に関する事務処理手続きについて」の一部改正について(平成23年7月1日付け消防危第129号)
I-2 危険物 地下タンクの漏れ点検及び定期点検の違反処理 一般取扱所 (小口詰替 )の立入検査を実施したところ、地下タンクの漏れ点検及び定期点検の記録がされていなかった場合の対応はどの様にすべきでしょうか。 地下タンクの漏れ点検を実施せず、定期点検の記録がない場合は、消防法第14条の3の2に違反しており、違反処理基準に基づき警告、使用停止命令となることから、違反処理に移行する。
I-3 危険物 技術基準に適合しない施設への指導 技術上の基準に適合していない危険物施設や防火対象物に対して完成検査済証、消防用設備等検査済証を誤って交付した後に変更や増改築等がない場合、技術上の基準に適合するように指導できますか。 完成検査済証の交付することで、行政行為の公定力が働き、製造所等が使用可能になったという効果に限定され、消防法第10条第4項の基準に不適合な部分がある場合には、同法第12条第1項を根拠にその是正を求めることができる。なお、基準不適合な部分に関しては、関係者へ十分に説明するとともに、変更時期などを考慮することが考えられる。
許可とは異なる「消防用設備等検査済証」の場合はこの限りでない。
【公定力の理論】公定力の理論とは、行政処分は、その成立に瑕疵があっても、重大、かつ、明白な瑕疵により、絶対無効とされる場合を除き、正当な権限を有する行政庁(審査請求における審査庁など)または裁判所によりその効力を否定されない限り、一応、適法・有効な行政処分である旨の推定を受け、相手方はもちろん、第三者、裁判所および行政庁自身も有効な行政処分として尊重しなければならないとする理論をいう。(最高裁昭和39年10月29日判決等)(近代消防2014年1月号違反処理に関する基本的諸問題(中篇))
I-4 危険物 破産者に対する地下タンクの処理指導 地下タンクを有する危険物施設が廃止された場合、地下タンクの処理(残油の抜き取り及び洗浄、掘り起し又は砂埋め処理等)を指導していますが、当事者が破産した場合、財産の管理は破産管財人において行われます。しかし、当該物件に利用価値がなく売却ができない場合は、処理費用の捻出ができないため、誰に対してどのような指導をすべきか。 裁判所において、破産宣告の決定があると、破産者の有していた財産は破産財団を構成する(破産法第6条1項)。この破産財団を管理し、処分しうる権限は、裁判所によって選任された破産管財人が持つことになる(破産法第7条)。破産宣告以後は、破産財団については、すべて破産管財人が管理して処分する権限を持つこととなる。
なお、破産手続きによっても債務の一部を配当したに止まり、多大な債務が残っている場合は、裁判所によってその責任を免除されることがある。
従って、破産宣告後の指導については、破産管財人から情報を入手しながら手続きを見守ることが望まれる。
I-5 危険物 給油取扱所の違反処理 給油取扱所において、敷地内に車両が多数置かれていることから関係者に確認したところ、一時的に置いているとの説明がありました。後日、中古車販売雑誌などで当該車両を販売していることを確認したことから、危険物の規制に関する政令第27条第6項第1号ヲ違反として違反処理を行うことは可能ですか。  給油、灯油の詰め替え又は自動車等の点検・整備若しくは洗車のために給油取扱所に出入りする者を対象としない物品の販売を行っていることが確認できた場合は、危険物の規制に関する政令第27条第6項第1号ヲにより、違反処理を行うことが可能であると考えます。
 また、予防規程において定めるべき事項として「給油取扱所内の駐車については、給油のための一時的な停車を除き、消防法令上駐車禁止とされる場所以外の場所であらかじめ明示された場所において行わせることとする。」とあることから、白線等で明瞭に区画された駐車スペース以外に車両を駐車している場合には、予防規程の違反として対処することができると考えます。
昭和62年4月28日消防危第38号「給油取扱所の技術上の基準等に係る運用上の指針について」(リンク先「大阪市消防局」)参照)
I-6 危険物 緊急使用停止命令の解除 危険物施設で火災が発生したことから、法第12条の3第1項に基づく緊急使用停止命令を発動しました。
火災鎮火後、当該危険物施設の焼損程度は部分焼であり、焼損していない部分の使用は可能であることから、関係者から焼損していない部分の使用を求められた場合に、緊急使用停止命令の解除はどのように行えばいいでしょうか。
 危険物施設違反処理マニュアルにおいて、緊急使用停止命令(法第12条の3第1項)の解除については、次のように記載があります。

@緊急使用停止命令は、次の事項を勘案し、公共の安全の維持及び災害の発生の防止が確保されている場合に解除する。
ア 火災の鎮火、漏えい危険物の回収など災害防除措置の状況
イ 当該危険物施設における消防法令の遵守状況
ウ 事故原因を踏まえた再発防止策の内容
A当該危険物施設の使用再開にあたり、復旧工事に係る変更許可(法第11条第1項)、予防規程変更の認可(法第14条の2第1項)等が必要となる場合には、原則として緊急使用停止命令の解除前にこれらの事務処理を行い、@イ及びウの関連事項に係る確認を併せて行う。また、変更許可等の後において、@イ及びウに係る危険物施設側の取組状況等から危険物保安上支障がないと認められる場合には、完成検査の前に緊急使用停止命令を解除することとしてさしつかえない。
B命令を解除する場合は、その旨を受命者に対して必要に応じ通知する。
とあり、また、使用停止命令は、私権制限の性格の強いものであることを考慮し、危険物保安上必要な範囲にとどめることが必要としています。

 以上のことから、設問のような部分的な使用が可能である場合においても、上記対応によることが原則と考えます。
@ 危険物施設での火災の鎮火、危険物の回収など災害防除措置の完了
A その他消防法令の遵守状況及び再発防止への対応状況の確認
B 危険物施設の変更許可及び仮使用の申請
C 変更許可及び仮使用の承認
D 完成検査完了、緊急使用停止命令の解除
※ 危険物保安上支障がないと認められる場合、Cで緊急使用停止命令の解除

J 名宛人
番号 種別 質問 内 容 回 答
J-1 名宛人 名宛人の特定 風俗営業の許可等に際して、警察機関等と連携して立入検査を行った場合、違反内容(消防用設備等の未設置など)についてテナント占有者だけでなく所有者にも立入検査結果通知を交付する必要がありますか。  風俗営業行政との連携における事案の場合の基本的な考え方については、平成13年11月12日付け消防予第393号「風俗営業の用途に供する営業所を含む防火対象物の防火安全対策における風俗営業行政との連携について」により示されており、是正措置が必要となる防火対象物については、速やかに許可申請者等(許可申請者以外の管理権原者等への是正指導が必要な場合は当該管理権原者等を含む。)に接触し、是正指導を行うこととされていることから、違反内容によっては所有者にも結果通知書を交付する必要があります。
 なお、消防用設備等の設置に関する名宛人については、建物の構造等の現状に変更を加えなければならない固定的な消防用設備等については、建物の処分権を有する所有者に対して、移動が可能な消防用設備等については、建物の所有者・管理者・占有者がその設置及び維持管理義務を負いますが、賃貸借契約に消防用設備等の設置及び維持管理について特約がある場合は、この特約を尊重する必要があるため、契約関係等について聴取し判断する必要があります。
※ 参考文献「消防法令解釈の基礎」
J-2 名宛人 複数権原の防火対象物の名宛人 区分所有又は共有の防火対象物において,消防法令の改正により,新たに防火対象物全体に屋内消火栓設備及び自動火災報知設備の設置が義務付けられることとなった場合,当該消防用設備を設置させるための消防法第17条の4の措置命令については,誰を名宛人とすべきでしょうか。ただし,区分所有の場合は,当該防火対象物には,管理組合法人は存在しないものとします。
また,消防法施行令第8条の区画が構造基準を満たさなくなったことにより,新たに同様の消防用設備の設置義務が生ずることとなる場合には,どのように考えるべきでしょうか。
管理者は、その職務に関して区分所有者を代理とするものであるから、管理者がその職務の範囲内で第三者との間でした法律行為の効果は、管理組合が法人格を取得しない限り、各区分所有者に帰属することとなっている。(「マンション法」 有斐閣より) そのため、区分所有者が名宛人になると考えられる。
令8区画が構造基準を満たさなくなった場合は、それぞれ別の防火対象物であるとの見方ができないことから、必要な消防用設備等を設置する義務が生じることとなる。
J-3 名宛人 名宛人の特定 登記上の所有者が死亡しており、相続人による登記がなされていない場合はどのようにして特定すれば良いでしょうか 税金の納付者、建物の相続者等が名宛人になると考えられる。
登記事項証明書等に記載がない情報については、限界があると考えるが、関係者からの供述のほか、関係部局からの情報も参考にする。
J-4 名宛人 名宛人を複数とすること 消防用設備の未設置等の重大な消防法令違反が確認された場合、名宛人を特定するため、住民票の写しや建物の登記事項証明書、法人の登記事項証明書等により確認します。名宛人が別の第三者に賃貸し、さらに複数テナント等に賃貸している場合などは、その契約内容等により違反改修の履行義務者として占有者が行うことが考えられますが、名宛人にこの賃借人、占有者を加えて名宛人を複数とすることは適当であるか伺います。
所有者以外にも占有者、管理者に対して警告書・命令書を交付することは可能である。ただし、下記の裁判事例にあるように実際に処分権を有しない者を誤って名宛人とした場合、その命令を無効とした判例もあるので注意されたい。
消防用設備等の設置・維持義務者は、当該設備の設置・維持行為を法律上正当になすことができる権原者、つまり設置・維持について私法上の権利を有する者である。(消防法令解釈の基礎より)

【参考事例】
月刊フェスク2013年5月号 違反是正(八尾市)
【違反処理データベース】
弁護士相談内容No,1
【裁判事例】ある給油取扱所は、防火塀の一部を撤去したまま営業していたが、当該給油所を現実に管理している者は、甲会社の代表取締役Aであり、法律上(商業登記簿上)は、乙会社(事務所を有していない、いわゆる幽霊会社))の代表取締役Aの管理下にあった。所轄署では、実質上、当該給油所の経営にあたっていた甲会社のAに対して、消防法第12条の2の使用停止命令発したが、命令違反に係る正式裁判の結果、甲会社のAには命令を履行する権原がなく、名宛人を誤った無効の命令とされた。
J-5 名宛人 名宛人を通称名とした場合 立入検査時に立入検査結果通知書により通知していた名宛人の名称が、警告を行うにあたって調査した住民票及び建物登記全部事項証明書等により外国籍の方の通称名であることが判明しました。この場合、それまで通知していた立入検査結果通知書は有効でしょうか。また、立入検査が通称名で有効であった場合、警告及び命令の名宛人名称も通称名として有効でしょうか。それとも本名が判明した時点から外国籍の本名を記載すべきでしょうか。 外国人住民の氏名及び通称等については、氏名(本名)による住民登録票に通称を併記することができることとなっている。そのため、名宛人の特定を誤って履行義務のないものに対して指導を行った場合は国家賠償法第1条による賠償責任が考えられるが、仮に本名ではなく通称名で指導したとしても別の者と判断されない限り有効と考えられる。なお、行政処分をする際には、住民票などを確認し名宛人の確認を行い、外国籍ならその本名とする。
J-6 名宛人 違反処理における名宛人 警告書等の交付にあたり,法人の代表者を確認したところ,代表取締役及びその配偶者である取締役の二人が死亡しており,取締役が不在の状態になっています。このような場合,警告書等の名宛人は誰になりますか。
なお,新たな取締役等が決まらない状況にあります。
登記上において取締役等が定まっていない場合は、実際の法人代表者が誰であるのか質問調書などにより把握するほか、納税などの情報から事実上の代表者を確認し名宛人を確定することができる。
違反処理標準マニュアル第4違反処理関係書式の記入要領

Z その他
番号 種別 質問 内 容 回 答
Z-1 その他 裁判における証拠能力 裁判において実況見分調書並びに質問調書の証拠能力についてご教示願いたい。 実況見分調書については、違反事実の確認及び証拠保全のために、違反現場に出向し、直接、違反の状態や物の存在を確認することを目的としているので、当然ながら裁判の資料となる。また、質問調書については、刑事訴訟法第322号に証拠能力が認められる場合について記載されている。
【刑事訴訟法第322条】被告人の供述を録取した書面で被告人の署名若しくは押印のあるものは、その供述が被告人に不利益な事実の承認を内容とするものであるとき、又は特に信用すべき情況の下にされたものであるときに限り、これを証拠とすることができる。
なお、行政指導を行う上での警告書、指導・勧告書などを交付する際は、必ずしも実況見分調書及び質問調書が必要となるわけではないので、違反事実を立証できる書類(防火対象物台帳や違反調査報告書等)があることをもって違反処理を進めることができると考える。
違反処理標準マニュアル第4違反処理関係書式の記入要領
Z-2 その他 違反物件の情報開示請求について 第3者からの防火対象物の情報開示請求(立入検査結果、消防用設備点検結果報告書等)があった場合、どこまで開示できるのでしょうか。 立入検査結果通知書の情報を開示するとした判例がある。
【裁判事例】平成15年11月27日東京高等裁判所において、消防法4条又は16条の5に基づく立入検査結果通知書及び改修(計画)報告書に記載された企業,氏名等を特定する情報が,情報公開条例に不開示事由として規定する法令秘情報に該当しないとされた事例。
ただし、開示する内容については、各市町村における情報公開条例に基づき、担当部局と相談の上判断する必要がある。
Z-3 その他 消防職員による実測 防火対象物の床面積が不明な場合、消防職員による実測にて床面積を算定しているが、その際の注意点があれば教えてください。
また、実測により算定した床面積を根拠として消防用設備等の設置命令を行うことはできますか。
 床面積については、建築基準法施行令第2条第1項第3号に規定され、壁等の区画の中心線で囲まれた水平投影面積とされていますが、実測は内寸(室内面積)を算定することがほとんどであることから、消防職員による実測により算定された床面積は、本来の床面積よりも少なく計測されることが考えられます。
 また、消防職員が床面積を実測する場合には、物品等の障害物により正確な測定が困難な場合も考えられますので、算定された面積については一定程度の幅を考慮する必要があると思われます。
 次に、実測による算定の結果、設置基準等に該当するか否かが不明確となった場合に設置命令を行うときは、建築物の図面等を関係者に求めるなど、他の手法によって面積を確定することができないかを検討する必要があると考えます。
 資料提出命令等による手続きを実施しても当該防火対象物の床面積を確認することができないなど、消防職員による実測でしか床面積の算定が行えない客観的事実を残すことによって、実測床面積に基づく消防用設備等の設置命令の正当性を主張することが可能になると思われます。
Z-4 その他 公示内容の情報提供 命令書を交付した案件について、問い合わせがあった場合、どの程度まで情報を提供するのが妥当ですか。  情報提供の内容としては、対象物名・所在地・受命者の氏名・命令内容・根拠法令などの公示している内容については問題ありませんが、受命者側にとって不利益となる情報(本命令と関係のない事実など)や不確定な情報(推測、憶測などの主観的な情報)については、問題があると考えられます。
<関連質問>
 Z−5「対象物情報の情報公開」
 その他、法的問題に関しては、弁護士相談(平成25年12月16日回答「報道機関からの取材対応に係る諸問題」)を参考として下さい。
Z-5 その他 対象物情報の情報公開 消防用設備等の維持管理状況について、入居を検討している事業者から契約の参考としたいため教えてほしいと相談があった場合、対象物の情報を提供していいのでしょうか。  設問については、原則として当事者間で解決すべき事項であると考えられますので、消防機関として対応する場合は、情報公開条例などで規定されている手続きに基づき行うべきであると思われます。
 なお、立入検査結果通知書等の公開についての判例として、公文書不開示処分取消請求控訴事件(東京高裁平成15年11月27日判決)があり、「何らかの指摘事項があった者については、公法上の義務を履行していない事実が明らかになる点で不利益があるといえるが、そもそも、ひとたび火災が発生すれば重大な被害が生ずるおそれのある査察対象物を所有ないし管理する以上、消防法以下の法令を順守すべき義務は重いというべきであり、その義務違反の事実を秘すべき必要性は仮に認められるとしても乏しいものというべきである。」とされ、違反事実を非公開とすることについて消極的な立場をとっていることから、情報公開の手続きによれば違反事実に関しては公開とされる可能性は少なくないものと考えられます。
 貸主の委任状などにより担保を取った上で消防機関が所有している情報を事業者に提供することも可能かと思われますが、条例手続きによらず情報提供する場合においては、市町村関係部局と事前に調整し、統一された見解で対応することが望ましいと思われます。
<関連質問>
 Z−4「公示内容の情報提供」
 所有者が変更となった場合としては、弁護士相談(平成25年12月27日回答「防火対象物の前所有者が現所有者に対して民法上負う担保責任等」)があります。
Z-6 その他 消防設備士の違反行為 消防設備士による点検内容に不備があったが、当該消防設備士の過去の違反歴や聴取内容等を勘案し、注意指導で止め、都道府県への報告を猶予することは可能ですか。  平成12年3月24日消防予第67号「消防設備士免状の返納命令に関する運用基準」により、違反行為に係る違反点数及び措置点数を算定するのは免状の交付知事であることから、把握した違反事実については都道府県に報告すべきであると思われます(運用基準第5 1 違反事案の報告等参考)。
 なお、ある事実について、違反と捉え報告するか、報告せずに注意指導とするかの判断を消防機関が行うとした場合、当然ながら消防機関によってその判断に差異が生じることから、違反事実を把握した段階で、都道府県の担当者等と処理方法等の調整を図り、適正に処理されることが望ましいと考えます。

参考文献: 予防技術検定のための消防予防概論第2巻 防火査察、第4巻 危険物、逐条解説消防法、消防行政法要論、実例に学ぶ消防法令解釈の基礎、倒産をめぐる法律知識とQ&A、不動産競売の実務、消防行政法要論、消防官のための立入検査の法律知識、消防法の研究