消防庁の検討会資料等

項目 詳細
違反の覚知 (1)立入検査による違反の覚知
 通常は、立入検査により違反を覚知する。
(2)立入検査以外による違反の覚知
・立入検査以外の消防用設備等の検査、火災調査又は住民等からの情報提供等により違反を覚知した場合、原則として法第4条に基づく立入検査を実施して、その事実を確認する。
過料事件の覚知 ・法第8条の2の3第5項違反「防火対象物点検の特例認定を受けた防火対象物における管理権原者の変更届出違反」
・法第36条第1項において準用する法第8条の2の3第5項違反「防災管理点検の特例認定を受けた防災管理対象物における管理権原者の変更届出違反」
・(法17条の2の3第4項違反「特殊消防用設備等又は設備等設置維持計画の変更届出違反」 @過料事件を管轄地方裁判所に通知する。
A通知の際には、違反事実を証する資料を添付する。
警告・命令のための違反調査 違反調査の目的は、違反事実、違反者の氏名、違反発生場所、違反対象物の用途、規模、構造、収容人員、違反内容、適用法条などについて確認し、違反の全容を解明し、違反事実を特定することである。
 違反調査には、法第4条に定める資料提出命令権、報告徴収権及び立入検査権に基づく質問・検査による場合と、法第35条の13に定める照会による場合などがある。
(1)調査内容
 警告、命令の場合の調査は、実況見分調査等により、違反の事実を特定することで足りる。
 告発の場合、構成要件該当性、違法性、有責性について特定することが必要である。
(2)違反調査の方法
・実況見分、写真撮影、物証・書証の収集
(3)違反調査結果のまとめ
 違反処理担当者が、当該違反の覚知から報告時までの調査結果をまとめ、全体像を把握し、警告・命令等の一次措置の検討のため、「違反調査報告書」により署長等へ報告する。
 改修(計画)報告書の提出を待って措置することが適当でない事案、火災危険・人命危険があり緊急を要する事案については、調査結果を口頭で報告する。

警告

(1)警告の意義
・警告とは、違反事実又は火災危険等が認められる事実について、防火対象物の関係者に対し、当該違反の是正又は火災危険等の排除を促し、これに従わない場合、命令、告発等の法的措置をもって対処することの意思表示である。
・警告は、命令の前段的措置として行うのが原則で、性質上行政指導にあたる。したがって、警告自体には法的な強制力はない。
(2)警告書の作成
・警告の主体、警告の客体、警告内容、履行期限
(3)警告の要件の確認
(4)警告書の交付
・名あて人に直接交付し、受領書を求める。
・名あて人に直接交付できない場合は下記のいずれかの方法による。
@名あて人の住所、居所、営業所又は事務所等において名あて人が不在の場合は、名あて人と相当の関係のある者(名あて人の従業者若しくは配偶者又は防火管理者等)が警告書の交付を受けることを拒まないときは、これらの者に警告書を交付することができる。この場合、交付した者に受領書を求める。
A直接交付ができない場合で、名あて人に異議がないときは、就業場所にその書類を置いておくことでかえることができる。この場合、後日、名あて人から受領書を求める。
B 配達証明郵便(必要に応じて配達証明付き内容証明郵便)により送達する。

・警告を行った後は、履行期限まで静観することなく、受命者の是正意思の後退又は中断のないように終始一貫した追跡指導を行う。
・履行期限が到来したら、確認調査を実施する。
違反処理の留保 ・当該違反の態様、危険性・緊急性、比例原則との均衡などを検討した結果、その時点では、違反処理を留保する場合もある。
安全担保の措置 ・安全担保措置
 なお、留保した場合は、違反内容の危険性に対応した代替の消防用設備等を設置させるとともに防火管理上の安全対策措置を講じさせ、その事実を記録しておく。
略式の代執行 ・法第3条第2項に該当するとき
 物件の除去等をする。
・法第5条の3第2項に該当するとき
@相当の期限を定めて、公告を行う。(緊 急の必要があると認めるときは、公告を要しない。)
A期限を過ぎても公告の内容が履行されないときは、消防長又は消防署長は当該消防職員をして物件の除去等をする。
物件の保管 ・物件の保管
@物件を除去したときは、適切に保管する。
A当該物件を返還するために公示するとともに、保管物件一覧簿を備え付け、関係者が自由に閲覧できるようにしておく。
B滅失若しくは破損するおそれがあるとき又はその保管に不相当な費用や手数を要するときは、当該物件を売却し、売却した代金を保管することができる。
費用徴取 ・費用徴収
 物件の除去、運搬、保管、売却、公示等に要した費用は、当該物件の返還を受けるべき者から徴収すること。

弁明の事前手続

(聴聞・弁明の機会の付与)
聴聞・弁明の機会の付与
 行政庁が法令に基づき、特定の者を名あて人として義務を課したり、権利を制限する不利益処分を行う場合には、行政手続法の適用を受け、処分を受ける者に対して聴聞又は弁明の機会を与え、この手続を経た後でなければ処分を行うことはできない。
 命令は不利益処分に該当するが、行政手続法第13条第2項に掲げる場合には、不利益処分の内容により、聴聞・弁明の機会を要しないとする規定があり、違反是正の措置の中で行われる不利益処分の多くはこれに該当する。
・聴聞の機会が付与される不利益処分
 法第8条の2の3第6項に基づく特例認定の取消し。
 法第36条第1項において準用する法第8条の2の3第6項に基づく特例認定の取消し。
・弁明の機会が付与される不利益処分
 法第5条第1項、第5条の2第1項、第5条の3第1項、第8条第4項、第8条の2第6項及び法第36条第1項において準用する法第8条第4項及び第8条の2第6項に基づく命令。ただし、行政手続法第13条第2項第1号の規定により適用除外となり弁明手続が実施されないことがある。
命令の妥当性の有無 命令を行うことが妥当でない場合
 警察比例の原則(行政法学上の警察権の発動について、その手段・態様は除去されるべき障害の大きさに比例しなければならず、選択可能な措置の内必要最小限度にとどまらなくてはならないとする原則)に反した妥当性のない命令をいう。
命令 (1)命令の意義
 消防法上の命令は、行政庁としての市町村長、消防長又は消防署長などの命令権者が、消防法上の命令規定に基づき、公権力の行使として、特定の者(主として関係者)に対し、具体的な火災危険の排除や消防法令違反等の是正について、義務を課す意思表示であり、通常、罰則の裏付けによって、間接的にその履行を強制している。
(2) 命令書の作成
・命令の主体、命令の客体、命令内容、命令(不利益処分)の理由、履行期限、教示、命令書の交付
(3)命令の要件の確認
(4)命令書の交付
・名あて人に直接交付し、受領書を求める。
 なお、口頭による場合は、原則として、事後に命令書を交付し、受領書を求める。(この場合の命令書の日付は、当該命令を発動した日付とする。)
・手交できない場合は、下記のいずれかの方法による。
@名あて人の住所、居所、営業所又は事務所等において名あて人が不在の場合は、名あて人と相当の関係のある者(名あて人の従業者若しくは配偶者又は防火管理者等)が命令書の交付を受けることを拒まないときは、これらの者に命令書を交付することができる。この場合、交付した者に受領書を求める。
A直接交付ができない場合で、名あて人に異議がないときは、就業場所にその書類を置いておくことでかえることができる。この場合、後日、名あて人から受領書を求める。
B配達証明付き内容証明郵便により送達する。
標識等による公示 公示
 命令を行ったときは、違反状態が継続している間、標識の設置や公報への掲載などにより、措置命令の内容などの周知を図る。
・公示の期間
 命令を行ったときは、速やかに公示し、命令事項が履行された時等、命令が効力を失うまでの間、維持する必要がある。
・公示の方法
 公示の方法は、標識の設置、市町村公報への掲載その他総務省令に基づき市町村長が定める方法によるものとし、標識は当該防火対象物に出入りする人々が見えやすい場所に設置する。
(市町村長の定める方法の例)
・当該消防機関が属する市町村の事務所での掲示
・当該消防本部及び消防署での掲示
・当該消防本部又は当該消防本部が属する市町村のホームページへの掲載
ホームページ
 標識の設置等に併せて、当該防火対象物を利用しようとする者等にもその情報を周知するため、必要に応じ、消防本部のホームページを活用した情報公開を行うものとする。
代執行 代執行とは、法令又は行政処分に基づく作為義務(何かをしなければならない義務)のうち、他人が代わって行うことのできる作為義務を義務者が履行しない或いは履行遅滞や見込みがないときに、不履行状態を放置することが著しく公益に反すると認められ、かつ他人が代わって履行する以外にその履行を実現することが困難である場合に、行政庁自ら又は第三者が義務者のなすべき行為を行い、これに要した費用を義務者から徴収することをいう。
行政庁が自ら行うとは、行政庁がその所属職員の手で行わしめるか、又は、所属職員に命じ、雇い入れられた人夫を非独立的な補助力として用い、それを指揮して行わしめることである。第三者が行うとは、独立の地位にある土建業者などと請負契約を締結して作業の完成を委託することである。
(1)代執行の可否の確認
(2)代執行の要否の検討
(3)代執行の主体
(4)事前準備
(5)戒告
(6)代執行令書による通知
(7)代執行の実行
(8)費用徴収(行政代執行法第5条、第6条)
・「代執行費用納付命令書」により、実際に要した費用の額及びその納付期日を定め、義務者に納付を命ずる。

・義務者が費用を納付しないときは、国税滞納処分の例(差押え)によりこれを徴収する。

告発へ

告発の意義
 告発は、告訴権者(犯罪による被害者等)及び違反者(犯人)以外の第三者が、捜査機関(警察又は検察)に対し、違反事実(消防法令違反)を申告して、処罰を求める意思表示である。


(1)告発の検討
 刑事訴訟法第239条第2項は「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」と規定し、公務員の告発義務について定めている。
 ただし、この告発義務については、当該公務員の職務上正当と考えられる程度の裁量まで禁止するものではないとされる。
(2)告発のための違反調査
(3)捜査機関との協議
(4)告発書の作成

(5)告発書の提出

消防吏員による命令
法第3条第1項

法第5条の3第1項

(1)消防吏員の命令
(法第3条第1項、第5条の3第1項)
・命令書の作成
@命令事項及び履行期限を決定する。
A命令の客体、要件を確認する。
B現場において、命令主体たる吏員が命令書を作成する。命令者欄は、自署又は記名押印する。
・命令書の交付
 命令書を名あて人に直接交付し、受領書を求める。
 なお、口頭による場合は、原則として事後に命令書を交付し、受領書を求める。(この場合の命令書の日付は、当該命令を発動した日付とする。)
 標識等による公示等、以後の手続については、「(5)命令を行ったときの標識等による公示」を参照。

聴聞  聴聞は、不利益処分を受ける者に、口頭による意見陳述や質問の機会などを与え、処分を受ける者と行政庁側のやりとりを経て、事実判断を行う手続である。
弁明 弁明は、不利益処分を受ける者に、原則として書面による意見陳述の機会を与え、処分についての判断を行う手続である。(行政庁が認めた場合は口頭で行うこともできる。)
公示の撤去 公示の撤去
 命令事項の履行によって命令の効力が消滅した場合、又は一部の違反事項が是正され、又は代替措置等が講じられたことにより、火災危険の程度と命令内容が均衡を欠き、当該命令の効力を継続させることが不適切となった場合(命令を解除する場合)に公示の撤去を行う。

命令の効力の消滅
 命令は、命令事項の履行、命令期間の終了又はその取消し、撤回、若しくは命令対象の消滅などの事由により、効力が消滅する。

命令を解除する場合
 公報への掲載により公示を行った場合は、命令を解除する旨の文書を受命者に対して交付してもよい。